「神奈川活動分析研究会おける個人情報保護に関する指針について」

 

2020年11月

神奈川活動分析研究会

 

神奈川活動分析研究会では中枢神経疾患の患者様のやりたい作業の獲得に向けて、質の高いリハビリテーションを提供するために,知識・技術を学び続ける必要があると考えています。そこで,セラピストの知識・技術の向上の一環として,患者様に行ったリハビリテーションの内容を年に一度神奈川活動分析研究大会にて発表する取り組みを行っています。通年は会場にセラピストが受講生として参加し,対面での発表を行っています.

しかし、現在、COVID-19(新型コロナウイルス)が世界的に感染拡大しており、日本においても世界と同様に流行の渦中にあり、対面での神奈川活動分析研究大会の開催は困難であると考えます。そこで、2020年度の神奈川活動分析大会は感染対策として、zoomを活用したOnlineで開催する運びとなりました。

Onlineでの事例発表は、対面での事例発表以上に個人情報保護を厳密に遵守する必要があると考え、神奈川活動分析研究会では個人情報保護に関する指針を作成しました。

 

個人のプライバシー保護を含む倫理的配慮は、医師及び医療専門職・関係者に求められる重要な責務です。学会研究会において発表される事例発表は医学・医療の進歩に貢献し、国民の健康、福祉の向上に重要な役割を果たしてきました。一方、事例発表では、特定の個人が有する疾患やその治療内容に関する情報が記載されることが多く、その際、プライバシー保護に配慮し、個人が特定されないよう留意するとともに、原則として、十分な説明をし、理解を得た上で、同意を得なければなりません。

以上を踏まえ、神奈川活動分析研究会では事例発表にあたり、個人のプライバシー保護を含む倫理的配慮に関して以下の諸点を遵守します。

 

【プライバシー保護の責務】

医療を受ける個人の情報は、「要配慮情報」の中でも特に、特別な配慮を要する情報であることに鑑み、症例報告の意義を損ねない範囲で、できる限り個人が特定されないよう、例えば以下のような方法で、プライバシーを保護しなければならない。

 

1) 患者個人の特定可能な氏名、入院番号、イニシャルは記載しない。(A氏、B氏などを用いる)

2) 患者の住所は記載しない。生活史に関連する固有名詞はアルファベットを用いる(A市、B社など)。

3) 特に必要がない場合は、実年齢は記載せず、○歳代等と表示する。

4)日付は、臨床経過を知る上で必要となることが多いので、個人が特定できないと判断される場合は

月日を記載してよいが、基本的には年月日については、発表者の関わり開始をX年Y月Z日とし、X+1年Y+2月Z+3日といった記載を用いる。

5) 他の情報と診療科名を照合することにより個人が特定され得る場合、診療科名は記載しない。

6) 既に他院などで診断・治療を受けている場合、その施設名ならびに所在地を記載しない。C病院、

D市などとする。発表者が診療を行った施設は「当院」、「当科」と表現する。

7) 顔写真・動画を提示する際には顔を隠す等、個人を特定できないように配慮する。口腔機能を提示

する場合は,顔全体が分からないよう口腔のみの拡大写真とする。

8) 症例を特定できる生検、画像情報、剖検等に含まれる番号などは削除する。

9)以上の配慮をしても個人が特定化される可能性のある場合は,発表に関する同意を患者自身(または遺族か代理人,小児では保護者)から得るか,倫理委員会の承認を得る。

 

【説明と同意について】

事例発表を行う場合には、原則として事例発表の対象となる個人に対し、事例発表の目的・意義、発表する内容と、その方法を本人が理解できるように十分に説明した上で、紙面(同意書1)にて同意を得なければならない。この場合に、同意しないことにより不利益を受けないこと、同意撤回の自由についても説明する。

Onlineでの事例発表の場合、同意書1の他に同意書2(肖像権使用に関する同意書)を用いて事例発表の対象となる個人に関して説明と同意を得る。この場合にも、同意しないことにより不利益を受けないこと、同意撤回の自由についても説明する。

 

【本人の同意について】

個人情報保護法によれば、「本人の同意」とは、本人の個人情報が、発表者等によって示された方法で取り扱われることを承諾する旨の当該本人の意思表示をいう。また「本人の同意を得る」とは、本人の承諾する旨の意思表示を当該個人の発表者が認識することをいい、発表等の性質及び個人情報の取り扱い状況に応じ、本人が同意に係わる判断を行うために必要と考えられる合理的かつ適切な方法によらなければならない。

なお、未成年者、成年被後見人、被補佐人及び被補助人が、個人情報の取り扱いに関して同意したことによって生ずる結果について判断できる能力を有していないなどの場合は、親権者や法定代理人等から同意を得る必要がある。

ただし、例えば以下のような場合には、本人又は代理人の同意を得ることなく発表することが可能な場合がある。

特定の個人が識別されず個人情報とはみなされない場合

死亡している者の情報であって、家族等の個人情報であるとはみなされず、学術研究として報告を行うのでもない場合

個人情報であっても、個人情報保護法の例外規定に該当する場合